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執筆者:大塚 真紀

 

目次

 

 

一般的な潜伏期間

インフルエンザウイルスの潜伏期間は比較的短いことが知られています。

昏睡状態

一般的には、1-3日程度の潜伏期間です。
最短では16時間、なかには5日間潜伏してから発症することもあります

 

インフルエンザウイルスは増える速度が速いため、潜伏期間が他のウイルスに比べて短いのではないかと考えられています。
気をつけなくてはいけないのが、潜伏期間でまだ症状が出ていない場合でも他人へうつす可能性があることです。

 

同様に、症状が出ていない人の近くにいて気付かないうちにうつされてしまうこともあります。
そのため、会社や学校、地域などでインフルエンザが流行している時には、マスク、手洗い、うがいを徹底して予防するようにした方がよいです。
ウイルスは乾燥していると空気中に舞い上がって吸い込むことで感染しやすくなるため、加湿も有効です。
また、インフルエンザ流行時期の前にワクチン接種をしておくことも予防法の1つになります。

 

潜伏期間の図解

執筆者:M.M

 

潜伏期間はもとより、
いつ頃感染したか?⇒ インフルエンザウイルスの感染と増殖
通院のタイミングは?いつ薬を飲めばいい? ⇒通院のタイミング
いつまで学校や会社を休めばいい? ⇒いつから社会復帰できるのか

 

インフルエンザ感染から完治までの一連の流れを図解しましたので、詳細は各記事を参考に、ご自身やご家族の状態と照らし合わせて適切な処置を取ってくださいね。

 

この図解は健常者の一般的な一例であり、個人差があります。
『2月1日の朝10時ころから体調がおかしいと感じた=発症を自覚した』ことを想定としています。
発症の日時は、あくまで自己申告です。
もしくは、保護者やご家族が「何か様子がおかしいな」と感じた日時です。

 

増殖の早いインフルエンザウイルスの対処には、この発症日時が大変重要となってくることを念頭に置き、日時を覚えたうえで受診してくださいね。

 

※気づいた日時のズレや体調により、『発症3日目』が必ずしも『解熱始め』とは限りません。
※インフルエンザ感染前や感染中発症前に、別の風邪に感染していた場合は明確な発症日時がわからなくなることがあります。
※発症日時を覚えていなくとも、薬が有効な期間より前であれ後であれ、流行状況や患者の症状で診断され薬が処方されますので、まずは受診をしましょう!


潜伏期間図解

 

 

 

インフルエンザウイルスの種類

鳥

 

インフルエンザウイルスには、3種類のタイプがあります。
A型、B型、C型で、主に流行するのはA型とB型です。

 

A型とB型ウイルスの表面には、赤血球凝集素(HA)ノイラミニダーゼ(NA)とよばれるタンパク質が存在しています。
特にA型には、HAで16種類NAで9種類あり、組み合わせによってさまざまな感染力をもつウイルスが流行する可能性があります。

 

B型とC型では、それぞれ1種類です。※詳しくインフルエンザb型の特徴や症状について
そのため、A型インフルエンザウイルスは年によって形を変えることができるため、大流行を引き起こすことがあります。

 

また、A型インフルエンザウイルスはヒトだけでなく、トリやブタなどにも感染します。

 

一方で、B型やC型インフルエンザウイルスはヒトでのみ感染が確認できています。

 

抗原連続変異/抗原不連続変異とは?

A型インフルエンザウイルスには、HAで16種類、NAで9種類のタンパク質の組み合わせが存在します。
例えば、H1N1, H5N1などのようにその年に流行しているインフルエンザの型を表現します。
一度流行したインフルエンザウイルスに対して、私たちの体の中で抗体ができると翌年以降は感染しても発症しなくなります。
しかし、インフルエンザの型が同じでも少しだけ構造が変化している場合には免疫が対応できないため、季節性の流行を引き起こします。
このようにウイルスの型は変わらないものの、少しだけ構造が変化することを抗原連続変異とよびます。

 

豚

抗原連続変異に対し、全く別の型のウイルスができることを抗原不連続変異とよびます。
B型やC型インフルエンザウイルスの場合には、ヒトにしか感染しないですが、A型はヒト、トリ、ブタにそれぞれ感染するので全く別の型のウイルスができてしまうことがあるのです。
例えば、A型インフルエンザウイルスの中でヒトに感染しやすいH1-3、トリに感染しやすいH4-16があったとすると、ヒトに感染しやすい型のものはトリには感染せず、トリに感染しやすい型のものはヒトに感染しない可能性があります。
しかし、ブタには両方の型が感染することがあり、トリとヒトにそれぞれ感染していたウイルスがブタに同時に感染すると混合されて、全く新しいインフルエンザウイルスが出現することになります。
すると、全く違う型のインフルエンザウイルスにワクチンも免疫も対応できないため、世界的な大流行を起こす結果につながるというわけです

 

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過去のパンデミック紹介

抗原不連続変異によって今まで流行していた型とは全く異なるインフルエンザウイルスが流行すると、ワクチンや免疫力では対抗できず世界的に蔓延します。
感染力も強いため、多くの死者が出ることがあります。
特に高齢者や子ども、妊婦、持病のある方など免疫力が低下している方は重症化する可能性があり注意が必要です。

 

過去に世界的に流行した、いわゆるパンデミックを引き起こしたインフルエンザウイルスについて紹介します。

 

まず、1918年にスペインかぜ(H1N1)が流行し、全世界で約200-4000万人が死亡し、その後39年間続きました。
日本では人口の約1/3が感染し、10万人が死亡したといわれています。

 

1957年にはアジアかぜ(H2N2)が流行し、11年間続きました。

 

また、1976年には香港かぜ(H3N2)が出現し大流行しましたが、現在でも流行は続いています。
アジアかぜ、香港かぜでは免疫力の弱い高齢者が多く死亡しました。

 

そして、1977年にはソ連かぜ(H1N1)が流行しました。

 

鳥

 

抗原変異は予測できるのか?

インフルエンザウイルスの流行を防ぐ方法の1つとしてワクチンの接種があります。
特にA型インフルエンザウイルスにおいて、毎年ウイルスの型が変わる可能性もあるためワクチンを作成する前に、どのインフルエンザウイルス株をターゲットにするか検討が行われます。
具体的には、日本国内だけでなく国外で流行しているインフルエンザウイルスの遺伝子や感染力の解析、前年度のワクチン接種後の反応性などを総合的に評価します。

 

しかし、残念ながら現在の方法ではインフルエンザの抗原変異を確実に予想することが難しく、せっかくワクチンを作成し、接種を促しても予防効果を得られない可能性もあります。

 

そこで東京大学の研究グループは研究を重ねて、2016年5月に将来起こるインフルエンザウイルスの抗原変異を従来の方法よりも高い精度で予測できる技術を開発し、報告しました。
今後、このような新しい技術によってより予防効果の高いワクチンの開発が進むことが期待されています。

 

2016-2017期インフルエンザ流行状況

国立感染症研究所のウェブ上には、日本全国のインフルエンザ患者数、また年齢ごとの患者数が定期的に更新されるようになっています。
また、東京都感染症情報センターのウェブ上には、都内のインフルエンザ流行状況や年齢ごとの患者数、入院患者数などが報告されています。

 

都内のインフルエンザ流行状況を見てみると、2016年11月に流行開始と報道され、同年12月には注意報レベルに、2017年1月には警報レベルになったことがわかります。
2016-2017期に東京都感染症センターに搬入されたものから検出されたウイルスを見ると、A香港型が最も多く、次にB型となっています。
全体からみると少ないですが、2009年に流行し、新型インフルエンザウイルスと呼ばれたウイルスもわずかに検出されているようです。

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